2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合性転写因子ATF6の小胞体ストレス応答性出芽機構
Project/Area Number |
21770205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 徹也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (70378529)
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Keywords | 小胞体ストレス / 転写誘導 |
Research Abstract |
本研究では、新規ATF6結合タンパク質として同定したp45に着目し、小胞体膜結合性転写因子ATF6の活性化機構を明らかにすることを目的としている。平成21年度の解析では、複数のp45変異体を作製し、ATF6との結合に必要なp45のアミノ酸領域の特定を行った。その結果、p45のN末端領域を約100アミノ酸除くと、小胞体ストレスに応答したATF6との相互作用が消失することが明らかとなった。N末端領域には進化的に高度に保存されている連続する9つのアミノ酸が含まれており、この9アミノ酸について、ATF6との結合に関する必要性と十分性をさらに詳しく検証している。 また、遺伝子データベースを用いた検索により、哺乳動物においては、p45と相同性の高いp50が存在することを見い出した。p45はN末端にシグナル配列、C末端に膜貫通ドメインを有する膜タンパク質であるが、p50はN末端にシグナル配列のみを有する可溶性タンパク質である。細胞内へのトランスフェクションと免疫染色解析から、p50は小胞体局在性のタンパク質であると考えられた。さらに、免疫沈降法による結合実験を行ったところ、p45と同じく、p50も小胞体ストレス依存的にATF6と相互作用することが明らかとなった。興味深いことに、p45とp50同士も小胞体ストレス依存的に相互作用すること、p45とp50を共発現させるとATF6との相互作用が増強されることから、p45とp50は複合体を形成して機能すると予想された。 以上の結果は、p45とp50がATF6の活性化機構に関与していることを強く示唆している。両者の機能をさらに詳しく解析することにより、ATF6の活性化機構の解明につながることが期待される。
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