2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合性転写因子ATF6の小胞体ストレス応答性出芽機構
Project/Area Number |
21770205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 徹也 京都大学, 理学研究科, 助教 (70378529)
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Keywords | 小胞体ストレス / ATF6 / DT40 |
Research Abstract |
本研究は、小胞体ストレスに応答した膜結合性転写因子ATF6の活性化分子機構を明らかにすることを目的としている。平成22年度では以下のような解析を行った。 1.申請者が同定した新規ATF6結合タンパク質p45、p50の機能を確実に明らかにするため、マウスに比べて遺伝子破壊がはるかに容易なニワトリBリンパ球由来細胞DT40を用いて、p45およびp50を破壊した細胞の樹立に着手した。まず、DT40においても哺乳動物と同様に、小胞体ストレスに応答してATF6がプロテオリシスを受けて活性化することを確認した。また、DT40細胞においてATF6遺伝子を破壊すると、マウス細胞の場合と同様に小胞体ストレスに応答したBiPの転写誘導がほぼ消失した。この結果は、DT40がATF6経路を解析するモデル細胞として適していることを示している。そこで、実際にp50遺伝子の破壊を開始し、ヘテロ欠損細胞の作製を完了、ホモ欠損細胞の候補株を複数単離した。p50遺伝子が破壊されていることを確認した後、ATF6のプロテオリシスに対する影響を検討する予定である。 2.さらなる新規ATF6結合タンパク質を同定するために、TAPタグを付加したATF6の小胞体内腔ドメイン(ATF6(C)-TAP)を発現するプラスミドDNAを作製し、ATF6(C)-TAPの細胞内挙動を詳しく解析した。全長型ATF6は膜タンパク質であるが、ATF6(C)-TAPは膜ドメインを持たないため、細胞からの可溶化と免疫沈降が容易であった。ATF6(C)-TAPの共沈降物を質量分析法により解析したところ、小胞体局在性のシャペロンであるPDIとカルネキシンをATF6結合タンパク質として新規に同定することができた。ATF6(C)-TAPは、全長型ATF6と同様に小胞体ストレスに応答してゴルジ体に移行することから、ATF6(C)-TAPの免疫沈降条件を最適化することにより、ATF6の活性化に関与する新規因子を同定することが可能と考えられる。
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Research Products
(4 results)