2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化制御因子PGC7/Stellaの機能解析
Project/Area Number |
21770207
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 肇伸 Osaka University, 生命機能研究科, 特任研究員 (80403202)
|
Keywords | DNAメチル化 / DNA脱メチル化 / ヒストンメチル化 / PGC7 / Stella / クロマチン |
Research Abstract |
PGC7/Stellaは、初期胚において雌性ゲノムのDNA脱メチル化を阻害する。しかし、雌雄両方の前核に存在するPGC7/Stellaが、どのように雌性ゲノムと雄性ゲノムを区別して機能するのかは全くわかっていない。現在までに、雌雄の前核においてクロマチンの修飾状態が異なっていることが示されていることから、PGC7/Stellaが、異なった修飾をうけたクロマチンに対して異なった結合能を示すことにより、両者を区別するという可能性がある。PGC7/Stellaによる雌雄ゲノムの識別機構が明らかとなれば、初期胚におけるDNAメチル化制御機構に大きな知見をもたらすだけでなく、精子および卵子が、受精後に分化多能性を再獲得する機構の解明にも寄与すると期待できる。本研究では、PGC7/Stella受精卵においてH3K9のメチル化を指標にして雌性ゲノムを認識しているとの仮説をたて、H3K9のメチル化がPGC7とクロマチンの結合に及ぼす影響を検討した。その結果、H3K9のメチル化酵素G9aを欠損するES細胞のクロマチンは、野生型と比較してPGC7との結合が弱いことが明かとなった。また、野生型のES細胞にPGC7を過剰発現させた場合には、エンドヌクレアーゼに対する感受性が低下したが、G9a欠損ES細胞では変化は認められなかった。さらに、H3K9の脱メチル化酵素Jhdm2aを受精卵に過剰発現させた場合、H3K9の脱メチル化だけではなく、ゲノムの脱メチル化も生じた。以上から、PGC7は、H3K9がメチル化された雌性クロマチンと強く結合することにより、雌性ゲノムを能動的脱メチル化から保護することが明らかになった。
|