2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化制御因子PGC7/Stellaの機能解析
Project/Area Number |
21770207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 肇伸 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80403202)
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Keywords | DNAメチル化 / DNA脱メチル化 / ヒストンメチル化 / PGC7/Stella / クロマチン |
Research Abstract |
PGC7/Stellaは、初期胚において雌性ゲノムのDNA脱メチル化を阻害する。しかし、雌雄両方の前核に存在するPGC7/Stellaが、どのように雌性ゲノムと雄性ゲノムを区別して機能するのかは全くわかっていない。現在までに、雌雄の前核においてクロマチンの修飾状態が異なっていることが示されていることから、PGC7/Stellaが、異なった修飾をうけたクロマチンに対して異なった結合能を示すことにより、両者を区別するという可能性がある。PGC7/Stellaによる雌雄ゲノムの識別機構が明らかとなれば、初期胚におけるDNAメチル化制御機構に大きな知見をもたらすだけでなく、精子および卵子が、受精後に分化多能性を再獲得する機構の解明にも寄与すると期待できる。前年度までに、PGC7は、H3K9がメチル化された雌性クロマチンと強く結合することにより、雌性ゲノムを能動的脱メチル化から保護することが明らかにしている。最近、雄性ゲノムの能動的DNA脱メチル化は、DNA修復経路を介して生じることが示された。そこで、今年度は、ES細胞において、PGC7がDNA修復経路に及ぼす影響を検討した。その結果、PGC7は、DNAのメチル化状態とは関係なく、ヒストンH3K9me2に依存してDNA修復を阻害することを明らかにした。ES細胞におけるDNA修復経路の阻害は、受精卵における能動的DNA脱メチル化を再現している可能性が考えられる。
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