2009 Fiscal Year Annual Research Report
繊毛虫の核分化過程におけるヌクレオポリンNup98の役割
Project/Area Number |
21770224
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
岩本 政明 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センター バイオICTグループ, 専攻研究員 (80450683)
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Keywords | 細胞核 / 核膜孔 / テトラヒメナ |
Research Abstract |
繊毛虫テトラヒメナの大核と小核では、核膜孔複合体を構成するタンパク質成分の一種Nup98が異なっており、このことがそれぞれの核に選択的な核内輸送に深く関わっていることが分かっている。繊毛虫の有性生殖過程(接合)で形成される1つの受精核から、新しい大核と小核が分化する際のNup98の動態と役割を明らかにするための実験系の開発と、条件の検討を行った。 2種類の大核型Nup98と2種類の小核型Nup98の動態を生細胞内で観察するため、それぞれのGFP融合体とmCherry融合体を発現する細胞株を作製した。この中から任意の2株を接合させることで、一組の接合対の中で、異なる2種類のNup98の動態を異なる色の蛍光で追うことができるようになった。現在、我々が考案したテトラヒメナの接合対を長時間にわたって生細胞観察できる実験系を用いて、核分化における各Nup98の局在変化のタイミングを詳細に解析中である。 一方、Nup98の発現を阻害した時の新核分化への影響を調べるために、それぞれのNup98をRNAiによってノックダウンできる細胞株を作製した。Nup98が、新大核形成に必要な核内成分の運搬に関与するかどうかをこれらの細胞株を用いて現在解析中である。 また、大核の分化においては、Nup98が小核型のものから大核型のものへ入れ替わるが、この時期の核膜構造の詳細を観察するため、CLEM(Correlation of Light and Electron Microscopy)解析を行った。分化段階の大核原基および新大核周辺には、多くの膜構造の集積と、それらと核膜との部分的な融合が観察され、盛んな膜成分の入れ替わりが起こっていることが示唆された。
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