2010 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞極性を制御する分子Albatrossの結合蛋白質と新規TPHD分子の検索
Project/Area Number |
21770225
|
Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
猪子 誠人 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 主任研究員 (30393127)
|
Keywords | 上皮分化 / ケラチン / 中心体 / 細胞増殖 / 微小管 |
Research Abstract |
正常上皮細胞の分化の特徴は、はっきりした極性や細胞間接着などに見られる。ケラチンは分化上皮細胞に特異的に発現する細胞骨格蛋白質であるにも関わらず、このような上皮分化制御への関与は不明な点が多かった。申請者らは、ケラチン結合蛋白質Albatrossが分化上皮細胞の極性、主には細胞間接着装置複合体の制御に関わり、ケラチンがこれを促進することを見出してきた(Sugimoto,Inoko et al., J.Cell Biol., 2008)。さらにAlbatrossおよびtrichoplein(Nishizawa, Izawa,Inoko et al., J.Cell Sci., 2005)をそのアミノ酸配列からTPHD分子群(トリコヒアリン・プレクチン類似ドメイン分子群)と名付けた。TPHD分子群の特徴は、ケラチン結合蛋白質であり、分化状態では主に細胞間接着部位に、そして増殖中は主に中心体に局在を変えることにある。このことは、TPHD分子群が分化・増殖の両方に関わるbi-player分子群である可能性を示している。本年度はこのうちtrichopleinの中心体機能について報告した。すなわちtrichopleinは詳細には母中心小体遠位端で微小管細胞骨格の係留を行っており、その分子基盤はナイニン、Odf2との結合を介していることを明らかにした(Ibi, Zou, Inoko et al., J.Cell Sci., 2011)。さらにTPHD分子群と細胞周期制御の関わりについても結合蛋白質および機能面から見出しており、分化・増殖のbi-player分子群としての可能性について検討を進めていく予定である。
|