2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス器官形成過程における細胞死動態のライブイメージングとその生理的意義の解明
Project/Area Number |
21770229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 良文 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (10447443)
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Keywords | アポトーシス / カスパーゼ / ライブイメージング / 発生生物学 / 神経管閉鎖 / 神経発生 / 細胞死 |
Research Abstract |
アポトーシス(細胞死)は、細胞社会の細胞数を一定に保ち秩序を維持する点で、細胞増殖と同等に重要である。近年、細胞死は単なる細胞の除去以上の効果を持つ可能性が示唆されている。例えば申請者の所属研究室を含む数グループから、ショウジョウバエ成虫原基で傷害によりアポトーシスした細胞は代償的に周囲の細胞増殖を促し最終的な器官サイズを同じにするという報告が出されている(MCB.2006)。一方、脊椎動物においても細胞死が細胞の除去以上の意味合いを持つか否かの理解はまだ殆ど進んでいない。一例として、主要な細胞死シグナル変異マウスでは神経管閉鎖異常が認められるが、細胞死がどのように神経管閉鎖に必要なのかは全く不明である。細胞死の生理的意義の理解には細胞死を阻害するだけでは不十分で、細胞死が生じる現場を押さえ周囲への影響を精査する必要があると考えられる。そこで本研究では、マウス神経管閉鎖のライブイメージング培養系を確立し、細胞死動態観察を可能にするカスパーゼ活性インディケーターを発現するトランスジェニックマウスの樹立にも成功した。今後は、世界的に見てもユニークなこれらの系を用いて、神経管閉鎖と細胞死動態との関連について明らかにしていく予定である。
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