2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス器官形成過程における細胞死動態のライブイメージングとその生理的意義の解明
Project/Area Number |
21770229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 良文 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (10447443)
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Keywords | アポトーシス / カスパーゼ / 細胞死 / ライブイメージング / 神経発生 |
Research Abstract |
本研究では、哺乳類生体内におけるカスパーゼの活性化動態(時期・領域・様式)を、カスパーゼ活性検出プローブSCAT3を活用したライブイメージングにより明らかにし、さらにはその生理的意義を明らかにすることを目指して研究を行なった。まず、培養が容易な胎生8日目の胚を用いて、観察が容易な内耳原基である耳胞を用いたところ、カスパーゼ活性化が頭部側から生じる様子をライブイメージングすることに成功した。この系を用いることで、同時期に生じる神経管閉鎖過程におけるカスパーゼ活性化の検出も同時に可能であった。これらの観察により。神経管閉鎖期に神経端、神経板、および正中線で生じるアポトーシス動態を明らかにする事ができた。興味深いことに、組織中でカスパーゼ活性化を生じてアポトーシスするには、少なくとも二種類の振る舞いがあることが明らかになった。一種類目はカスパーゼ活性化後に縮小・断片化する細胞であり、二種類目は、カスパーゼ活性化後に断片化せず丸くなったまま留まり続ける細胞である。これらの違いは、その細胞が属する組織と時期に応じて生じているようであった。これらは、申請者の知る限り、カスパーゼ活性化および死細胞動態をほ乳類生体内で明らかにした初めての事例である。これらの解析と並行して、時期・部位特異的細胞死シグナルを阻害できるマウスの作製も引き続きおこなっており、現在までに細胞死阻害因子p35を過剰発現するレポーターマウスの作製に成功している。これら新規トランスジェニックマウス群は、生体内における死細胞動態とその生理的意義の解明に大きく貢献するものと期待される。
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