2009 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質発生におけるニューロン分化と移動開始を結ぶメカニズムの解析
Project/Area Number |
21770230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 靖浩 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 助教 (50508108)
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Keywords | ニューロン / 細胞移動 / 神経発生 / 大脳新皮質 |
Research Abstract |
大脳新皮質発生において、未分化な神経系前駆細胞から分化したニューロンはそれぞれ適切な位置へ移動する事により緻密な神経回路を形成する。しかし何故分化したニューロンが移動を開始するかは不明であった。申請者はこれまでに転写因子Scratch1がニューロン移動の開始制御に必須の役割を果たすことを示唆する結果を得ていた。H21年度は、まずScratch1がニューロン分化誘導に必須の役割を果たす転写因子Neurogenin1あるいはNeurogenin2の下流で発現する事を見出し、ニューロン分化に伴いScratch1が発現する事が示された。次に、Scratch1によるニューロン移動開始の制御メカニズムを明らかにするための実験を行ない、Scratch1の転写ターゲットとしてE-cadherinを同定した。Scratch1を過剰発現するとE-cadherinプロモーターの活性が抑制され、かつ、E-cadherinのmRNAあるいはタンパク質の発現量が減少した。一方、Scratch1の発現をRNAiにより抑制するとE-cadherin mRNAの発現量が上昇した事から、内在性のScratch1がE-cadherinの発現抑制に必要である事が明らかになった。そして、Scratch1ノックアウトマウスの作製に成功し、現在戻し交配を行なっている途中である。これらは概ねH21年度の研究計画通りに行なわれ、本研究課題は順調に進められている。また、学会にて口頭・ポスター発表を行い、これらの成果を発表した。
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