2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770232
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
寺林 健 Kumamoto University, 発生医学研究所, COEリサーチアソシエイト (40452429)
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Keywords | 腎臓発生 / キネシン / 細胞骨格 / 微小管 / 細胞接着 / 細胞極性 |
Research Abstract |
モーター分子群キネシンスーパーファミリーの一員であるKif-kは、そのノックアウトマウスが腎臓欠損という表現型を示す。これは腎臓発生の初期に見られる尿管芽の後腎間葉への侵入が不完全であることに起因するが、Kif-kの下流で何が起こりどのように尿管芽侵入が誘導されるのか、その分子メカニズムは全く明らかになっていない。本研究ではKif-kノックアウトマウスの組織解析から、尿管芽に直に接する後腎間葉の細胞形態に異常があることを見出した。さらに尿管芽の誘引因子であるGDNFの発現も減少していることも認めた。Kif-kの結合タンパク質の探索を行い、候補タンパク質として細胞骨格制御因子、細胞間接着関連因子、およびユビキチン-プロテオソーム関連因子を同定した。免疫沈降により、Kif-kはこれらの因子と発生過程の腎臓において内在性の複合体を形成することを明らかにした。このことはKif-kが腎臓発生において多岐に渡る機能を有していることを示唆している。Kif-kを293細胞に強制発現させた場合、細胞は凝集塊を形成するが、Kif-kの結合因子として同定された細胞骨格制御因子をノックダウン、またはその阻害剤を用いた場合、この細胞凝集塊の形成が解消されるのを確認した。さらにN-cadherinをノックダウンした時にも同様の細胞凝集塊の形成が解消されたことから、Kif-kは細胞骨格の再構成とN-cadherinを介した細胞接着を制御している可能性が示唆された。尿管芽周囲の後腎間葉の細胞形態も、293細胞での細胞凝集塊形成と同様に、Kif-kとその結合タンパク質による細胞間接着を介した制御を受けていると想定しており、今後の重要な検討課題となっている。
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Research Products
(6 results)