2009 Fiscal Year Annual Research Report
パラログ遺伝子のシス調節配列の進化と遺伝子ネットワークのフェイルセーフ機構の解析
Project/Area Number |
21770234
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
越智 陽城 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (00505787)
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Keywords | パラログ遺伝子 / Pax2 / Pax5 / Pax8 / Xenopus tropicalis / シス調節エレメント / Conserved non-coding element / ロバストネス / フェイルセーフ / 遺伝子ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は転写因子Pax2、Pax5、Pax8に着目し、ゲノム重複により生じたパラログ遺伝子において、それぞれの発現を阻害したときに引き起こされるシス調節エレメントのクロストークを解析することによって、遺伝子ネットワークの復元力とその限界を解明するものである。本年度は、シスPax2、Pax5、Pax8それぞれの遺伝子座の周辺300kbのゲノム領域で、ヒト、ニワトリ、カエルの間で高度の保存されている81カ所の保存非コード領域(Conserved non-coding element, CNE)についてシス調節活性をトランスジェニク実験によって調べた。Pax2の55カ所のCNEのなかで、18カ所は中脳後脳境界(MHB)のエンハンサー、8カ所は腎臓エンハンサー、21カ所は体節エンハンサーであった。Pax5の20カ所のCNEのなかで、4カ所はMHBエンハンサー、3カ所が体節エンハンサーであった。Pax8の6カ所のCNEのなかで、3カ所がMHBエンハンサー、3カ所が耳エンハンサー、1カ所が腎臓エンハンサーであった。これらエンハンサーは、転写開始点の上流150kbpに位置するもの、Pax2/5/8遺伝子のイントロンに位置するもの、また隣の遺伝子のイントロンに位置するものであったが、いずれもこれまでに報告されていない新規のエンハンサーであった。本年度はさらに、シス調節エレメントのクロストークを介したフェイルセーフ機構を解析するために、Xenopus tropicalisのPax2、Pax5、Pax8のスプライシングを阻害するアンチセンスモルフォリノヌクレオチドを作製し、Pax2、Pax5、Pax8の機能阻害実験に成功した。また、Pax2遺伝子が欠損したマウスとゼブラフィッシュの準備を進めており、今後、脊椎動物に共通にみられるシス調節エレメントのクロストークを解析する。
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Research Products
(10 results)