2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770235
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 大介 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90403360)
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Keywords | 神経堤細胞 / 交感神経 / 副腎 / 誘引 / 反発 / 細胞移動 / ケモカイン / 細胞選別 |
Research Abstract |
発生初期にみられる神経系組織の成立機構について、神経前駆細胞の移動に注目し、その制御機構の解明に取り組んだ。末梢神経系のほぼすべてを作り上げる神経冠細胞(Neural crest cell,神経堤細胞ともいう。以下NCCと呼ぶ)をモデルとした解析を行い、背側大動脈からの誘引シグナルやNCCサブタイプの選別機構について新規の知見を得た。NCCサブタイプの一つである交感神経-副腎髄質前駆細胞(Sympatho-Adrenal precursor cell:以下SA細胞と呼ぶ)の移動機構に関して、背側大動脈がSA細胞の移動を誘引する能力をもつこと、またこの誘引能の実態が背側大動脈付近の間充織内で発現するケモカインSDF1とNeuregulin1(Nrg1)であることを、移植実験やin vitroの移動アッセイによて明らかにした。 次に、背側大動脈まで辿り着いたSA細胞集団が、S細胞(のちのSympathetic neuron)とA細胞(のちのAdrenal medulla)に選別される機構について、次のことを明らかにした。背側大動脈に辿り着いた直後のSA細胞ではBMPシグナルが活性化しているが、やがてこれらのシグナルは消失した。さらに発生が進んでSA細胞からA細胞が選別される時期になると、A細胞でのみBMPシグナルが再活性化された。BMP受容体の変異型を用いた解析から、BMPシグナルの活性/不活性化の違い(BMP-switching)が、S細胞とA細胞の空間的な選別に重要であることを見出した。さらに、このBMP-switchingは、細胞外因子Crossveinless2によって制御されていることも見出した。本研究をとおして、NCCの移動や細胞系譜の選別を制御する機構の一端が明らかになった。
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Research Products
(5 results)