2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内小器官のダイナミックな構造変化に依存したツメガエル胚発生制御機構の解析
Project/Area Number |
21770236
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上野 秀一 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (80363092)
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Keywords | Xenopus / MBT / Convergent Extension / 細胞内小器官 |
Research Abstract |
MBT期における細胞周期伸長…Xenopus初期胚では卵割期におけるS期とM期のみの短い細胞分裂から、MBT期(中期胞胚遷移)にS期の伸長とG2期、G1期の出現を伴う長い細胞分裂へと移行する。このMBT期には細胞周期の伸長に伴い、形態形成や胚性の遺伝子転写が始まる。今回、割球細胞の表層近辺の細胞質に局在するPI3K-TOR-S6Kのシグナル経路を介したタンパク合成活性が細胞分裂に伴う細胞サイズの減少に伴って低下することで、MBT期の細胞周期の伸長が開始する分子機構を明らかにした(2009発生学会)。形態形成時の細胞周期制御…Xenopus初期胚においてMBT期以降に最初に見られる顕著な形態形成として原腸陥入がある。この原腸陥入には外胚葉、中胚葉、内胚葉といった組織の分化が不可欠であり、かつ中胚葉領域での著しいM期細胞数の低下が起きるが、その細胞周期制御は不明な点が多い。今回、リアルタイムでの細胞周期の位相変化を観察するために、1) DNA複製因子の分子間FRETの有無と、2) EGFP-Gemininの局在変化を指標にした解析を行った。その結果、EGFP-Geminin-Nの核内移行の時期を指標にして、G1期の特定が可能になった。このシステムを用いて、原腸陥入時の各胚葉における細胞周期の位相変化をKeller Expiantを用いて観察した。すると外胚葉や中内胚葉(中胚葉の予定頭部側の組織)の細胞に比べ、Convergent Extensionを起こしている中胚葉の細胞においてS/G2期における著しい細胞周期伸長が起きることが明らかになった(2009分子生物学会)。このことは最近発表されたG2/M期に依存したWnt経路の活性化が中胚葉で起き得ることを示唆するものであり、初期胚発生の細胞周期と分化過程を協調的に制御する機構を理解する上で非常に興味深い発見である。
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