2010 Fiscal Year Annual Research Report
発生過程における"突出・伸長"現象の分子メカニズム解析
Project/Area Number |
21770239
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Research Institution | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
Principal Investigator |
宮川 信一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (30404354)
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Keywords | 生殖器官 / 発生 / ヘッジホッグ |
Research Abstract |
胎児付属肢形成は、基本的な形態形成プロセスを網羅するモデルシステムであり、発生システムの重要な課題を多く含んでいる。外生殖器は胎児付属肢の一つであり、体幹末端の総排泄腔領域から突出・伸長する生殖結節を原基として発生する。本研究はこの"突出・伸長"という生命現象を、マウス胎児外生殖器をモデルとして、マウス遺伝学的解析と分子生物学的手法を用いて詳細に解析し、形態形成メカニズムを明らかにすることを目的としている。 本年度は、初期外生殖器形成のみならず、後期の性的二型性についての研究を行い、Wntシグナルがアンドロゲン下流の標的シグナルである可能性を示していたのに対し、ヘッジホッグシグナルはアンドロゲンに対する反応性を調節しうる標的シグナルであることが示唆された。特にヘッジホッグシグナルは外生殖器間葉に作用しており、これは、初期外生殖器型性から一貫していた。このように外生殖器特有の、性的二型を作りながらの突出・伸長過程において、Wnt、ヘッジホッグシグナルという2つの発生時における大切な分泌性増殖因子が、アンドロゲンシグナルと協調的に作用していることなど、多くの知見が得られた。また、雌マウスにアンドロゲンを投与すると雄型の外生殖器の形態を示すことが知られているが、投与時期を後期にずらすと、尿道下裂様症状を呈することを明らかにし、さらにエストロゲン受容体ノックアウトマウスではその症状が重篤化することから、アンドロゲンシグナルだけでなく、エストロゲンシグナルも外生殖器型性になんらかの影響を与えうることが示された。
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Research Products
(6 results)