2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会性アブラムシにおける階級分化・分業を制御する分子基盤の解明
Project/Area Number |
21770260
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
沓掛 磨也子 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ゲノムファクトリー研究部門, 研究員 (90415703)
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Keywords | 社会性昆虫 / 兵隊アブラムシ / 階級分化 / 分業 / 兵隊特異的発現遺伝子 |
Research Abstract |
本研究課題では、生態から分子までの幅広いアプローチが可能な社会性アブラムシを対象に、兵隊または兵隊分化途中の個体で特異的(または亢進的)に発現する遺伝子群の網羅的な同定と発現・機能解析を行うことにより、兵隊分化および生物機能に関わる分子基盤を解明する。当該分野においてはすでに、2齢幼虫期に兵隊が分化するハクウンボクハナフシアブラムシでカテプシンBプロテアーゼ遺伝子が兵隊特異的に発現し、捕食者に対する攻撃毒として機能することがわかっている。本研究課題では、この攻撃毒プロテアーゼ以外の兵隊特異的に発現する遺伝子およびタンパク質の同定および解析を行う。今年度は、1)ハクウンボクハナフシアブラムシの兵隊と普通個体間でcDNAサブトラクションを行い、カテプシンB以外の兵隊特異的発現遺伝子約500クローンについて配列決定およびBLAST検索を行った。その結果、セリンプロテアーゼインピビター遺伝子など、多数の兵隊特異的発現遺伝子を得た。2)兵隊と普通個体間において、2次元電気泳動によるプロテオームの比較を行い、兵隊特異的に発現する3つのタンパク質についてN末端アミノ酸配列を解析した。BLAST検索を行ったが、これらのN末端アミノ酸配列は、いずれもアブラムシゲノムから推定されるタンパク質配列に対して特に高い相同性は示さなかった。3)社会行動として巣の修復を行う兵隊幼虫に多量に発現している体液タンパク質について解析を行い、巣の修復時に起こる分泌液凝固現象においてタンパク質間の架橋反応が重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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