2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21770262
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 美知夫 Kyoto University, 野生動物研究センター, 准教授 (30322647)
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Keywords | チンパンジー / 社会 / 文化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、野生チンパンジーで「文化」と言われている行動変異、すなわち集団間で違いがあり、なおかつその違いが遺伝的な違いによるものとは考えにくいような行動パターンについて隣接集団間で比較することである。その最初のステップとして、本年度は、おもにマハレM集団のチンパンジーを対象に、行動パターンについての情報の蓄積およびこれまでに蓄積した情報の整理・分析をおこなうとともに、隣接群Y集団の調査の準備をおこなった。M集団については、年寄りのメスが地面に落ちているホロホロチョウの羽根を拾い集め、約30分にわたって持ち運ぶという、これまでに観察例のない事例を分析し、英文短報としてまとめた。また、ドイツ・ゲッティンゲンで開催された国際シンポジウムでは、最近頻度が高くなっている水遊び行動についていくつかの類型化をおこない、予備的な報告をおこなった。特記するべき点としては、オトナのオスについても水遊びが観察され、土手に生えている潅木などを水に浸して足で踏みつけるといった行動パターンが観察されたことである。こういったな、珍しいがそれほど頻度が高くない行動について記載していくことは、チンパンジーの文化変異を把握するためには不可欠な作業であると思われる。今後、Y集団の人付けを進めていき、隣接集団間での行動比較をおこなっていきたい。 また、チンパンジーの社会行動全般に関する一般書を出版したほか、チンパンジー・ヒト・ニホンザルなどの社会的インタラクションについての学術書を編集・執筆した。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Prevalence of muzzle-rubbing and hand-rubbing behavior in wild chimpanzees in Mahale Mountains National Park, Tanzania.2009
Author(s)
Corp N, Hayaki H, Matsusaka T, Fujita S, Hosaka K, Kutsukake N, Nakamura M, Nakamura M, Nishie H, Shimada M, Zamma K, Wallauer W, Nishida T
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Journal Title
Primates 50
Pages: 184-189
Peer Reviewed
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[Presentation] マハレ山塊国立公園におけるエコツーリズムがチンパンジーの健康状態に及ぼす影響2009
Author(s)
藤田志歩, 座馬耕一郎, 花村俊吉, 稲葉あぐみ, 中村美知夫, 清野(布施)未恵子, 坂巻哲也, 郡山尚紀, 島田将喜, 伊藤詞子, 松阪崇久, 西田利貞
Organizer
第25回日本霊長類学会大会
Place of Presentation
岐阜県各務原市
Year and Date
2009-07-20
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