2010 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類および哺乳類の距骨サイズの変異:化石研究への応用に向けて
Project/Area Number |
21770265
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Research Institution | Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc. Great Ape. Research Institute |
Principal Investigator |
鍔本 武久 株式会社林原生物化学研究所類人猿研究センター, 系統進化研究部, 研究員 (20522139)
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Keywords | 霊長類 / 哺乳類 / 化石 / 距骨 / 体重推定 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、現生霊長類・哺乳類の距骨および歯の計測をおこない、さらに動物標本の基礎データ(体重など)を標本所蔵機関のデータベースより取得した。前年度の予備解析の結果をふまえて、距骨による体重推定のための解析をおこなった。データは、モグラからゾウまでの大きさの48種80個体(大人)を対象とした。また解析に際して「adjusted CF」という新しい係数を導入して検討した。そして、その結果を化石動物の体重推定に応用した。 全陸上哺乳類に対する「距骨サイズと体重との回帰式」を作成したところ、予備解析の結果と同様に、「距骨の滑車の幅および断面積」と体重との相関が一番良いことがわかった。つまり、距骨の滑車大きさは化石種の体重推定に非常に適している。また、距骨の形状は動物の種類によって様々であるが、その滑車の大きさは動物の種類にはよらず、体重をそろえて考えればほぼ一定していることが明らかになった。 この結果を応用して、史上最大の陸上化石哺乳類インドリコテリウムの体重を推定した。インドリコテリウムの距骨の計測データは文献に掲載されている図を計測することによって得た。その結果、インドリコテリウムの推定体重は約10~15トンになった。この結果は最新の研究によるインドリコテリウムの推定体重とほぼ一致しており、距骨化石が体重推定に非常に有用であることを示している。また、文献からのデータによっても体重推定が可能であることから、この回帰式は、化石哺乳類の研究において非常に応用範囲が広いこともわかった。
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Research Products
(1 results)