2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物の開花・ストレス応答経路のクロストークの解明と育種への応用
Project/Area Number |
21780001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
横井 修司 Iwate University, 農学部, 准教授 (80346311)
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / 植物 / ストレス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は、シロイヌナズナを用いて開花とストレスのシグナル伝達経路の相互作用を解析する目的で開花関連遺伝子をして機能が知られているGIGANTEA(GI)の機能解析を変異体の解析を中心に行った。 gi-3変異体は、野生型と比較して塩ストレスに対して著しい感受性を示す事が明らかとなっているため、塩ストレス処理後のNaの含量を測定したところ、gi-3は野生型と比較して、Na含量が低い事が明らかとなった。この結果から、GIがイオン恒常性の維持に関与することが考えられたため、Na蓄積を制御し、膜局在のNa^+/H^+アンチポータータンパク質をコードするNHX遺伝子の遺伝子発現解析を行った。その結果、gi-3において複数の液胞膜型のNHX遺伝子の発現低下が見られた。この事から、GIタンパク質は液胞膜でのNaイオンの輸送を制御する事で、塩ストレス耐性を調節する事が示唆された。塩ストレス処理後の抽苔までの日数(抽苔期)及び、抽苔時のロゼットの枚数(葉の枚数)を計測したところ、野生型では塩ストレス処理により、抽苔期が遅くなり、葉の枚数は変化しない事が明らかとなり、シグナル伝達の下流遺伝子のFTの遺伝子発現も減少していた。一方でgi-3においては、塩ストレス処理により抽苔期が早化し、葉の枚数は減少していた。これらの事からGIは開花遺伝子としての機能を持つだけでなく、塩ストレス条件下においてイオン恒常性を維持すること、ストレス条件下で開花を促進する経路に抑制的に機能することで栄養生長相の長さを正常に保つために不可欠な因子である事が示唆された。
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