2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物の開花・ストレス応答経路のクロストークの解明と育種への応用
Project/Area Number |
21780001
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
横井 修司 岩手大学, 農学部, 准教授 (80346311)
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / 植物 / ストレス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は、ストレス関連遺伝子の変異体の開花表現型と開花関連遺伝子の発現解析を中心に行った。 ストレス関連遺伝子として既に知られているSOS1, SOS3, ATMYB2, ATMYC2, ATHB6, ANAC055の6遺伝子に注目し、それらの変異体をアラビドプシスストックセンターから入手し、遺伝子型を決定、変異体を単離した。それらの変異体を長日条件下で生育させたところ、ANAC055の変異体において野生型と比較して優位に開花までに生産する葉数が多くなることが明らかになった。 ストレス関連遺伝子と開花遅延のクロストークを分子遺伝学的に調査するため、96時間にわたって4時間おきにサンプリングした野生型、開花関連遺伝子の変異体であるgi-3に塩処理を行った植物体からのRNAを用いてANAC055の発現解析を行った。その結果、野生型では塩処理直後に発現が上昇し、その後は一定のリズムを持って低いレベルで発現を維持するパターンが検出されたのに対して、gi-3変異体では塩処理直後の発現が野生型と比較して低くなり、その後は一定のリズムが乱れて72時間後の塩処理終了時に再び高い発現を示していた。このことにより、ストレス耐性に機能するANAC055の遺伝子発現のリズムが、塩処理によって乱されるが、GIの機能によってそれが補正され、一定のリズムを維持することで塩耐性に機能していることが推定された。 本年度の成果により、開花関連遺伝子がストレス耐性遺伝子の発現制御に機能していることを明らかにすることが出来た。
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