2009 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳初期発生の細胞化と生殖隔離におけるOsMADS87遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
21780003
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 亮 Kobe University, 農学研究科, 助教 (70467687)
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Keywords | イネ / 胚乳 |
Research Abstract |
本年度はイネの胚乳発生におけるOsMADS87遺伝子の機能を明らかにするために、以下の実験を行った。まず、OsMADS87遺伝子の胚乳における発現を正確に定量するためにリアルタイムPCRを行った。その結果、正常種子が得られる日本晴自殖の場合、OsMADS87遺伝子の発現は、受精後から細胞化が観察される2日目までは同定できたが、細胞化が生じたあとのステージではその発現が全く確認されなかった。一方、胚乳発生が異常を示した雑種胚乳では発現量に違いが見られた。胚乳発生が抑制された日本晴とO. punctataの雑種胚乳、逆に胚乳発生が促進された日本晴とO. longistaminataの雑種胚乳では、受精後2日目において日本晴自殖の場合に比べてそれぞれ、1/7以下の発現、2倍以上の発現の違いが同定された。 次に、OsMADS87遺伝子を強制発現、機能抑制させる形質転換体の作出を行った。強制発現にはmaize由来のユビキチンプロモーターを用いた。発現抑制のために用いたRNAi法では、OsMADS87遺伝子の遺伝子領域とプロモーター領域(転写開始点付近)をそれぞれターゲットに持つコンストラクトを作出した。また、機能抑制のためにリプレッションドメインを持ったOsMADS87タンパク質を発現するCREST法を用いた形質転換体を作出した。さらに、胚乳特異的発現を示すOsFIE1遺伝子のプロモーター領域(およそ3kb)を利用することによって、胚乳特異的に強制発現、機能抑制を行う形質転換体を作出した。これらの形質転換植物については、導入遺伝子の確認と胚乳発生における影響を今後解析する予定である。
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