2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳初期発生の細胞化と生殖隔離におけるOsMADS87遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
21780003
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 亮 神戸大学, 農学研究科, 助教 (70467687)
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Keywords | イネ / 胚乳 / 生殖隔離 |
Research Abstract |
これまでの研究から、栽培イネ(Oryza sativa)と野生イネ(O.longistaminata)の種間交雑において、Type I MADS-Box遺伝子をコードするOsMADS87遺伝子の発現に異常が見られることを同定している。本年度はOsMADS87遺伝子の発現異常について、昨年度に得られたデータの再現性を確認するために定量PCRを用いて、胚乳の発生ステージ別に詳細に解析を行った。また、OsMADS87遺伝子がインプリンティングを受けていることを調査するために栽培イネ間(ジャポニカイネ:日本晴とインディカイネ:カサラス)で正逆交雑を行い受精後の雑種胚乳を回収し、OsMADS87遺伝子が転写されるアリルについて、品種間多型を利用したallele specific RT-PCRを用いて検証した。その結果、OsMADS87遺伝子は母親由来のアリルから発現が見られるインプリント遺伝子であることが明らかになった。種間交雑による異常が生じた雑種胚乳では、OsMADS87遺伝子の高発現、もしくは低発現が見られるが、これらの雑種胚乳ではOsMADS87遺伝子のインプリント制御に変化が見られた。これらの結果から、イネ種間交雑に見られる胚乳発生異常におけるOsMADS87遺伝子の関与について学術誌に報告した(Ishikawa and Ohnishi et al. 2011 Plant J 65:798-806)。一方、昨年度に作出したOsMADS87遺伝子を強制発現・機能抑制させる形質転換体を用いて、胚乳発生への影響について調査を行ったが、胚乳は正常であり顕著な影響は見られなかった。OsMADS87遺伝子についてはゲノム中に複数のファミリー遺伝子が存在することから、これらファミリー遺伝子との作用について精査を行う必要がある。
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