2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780007
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
永澤 奈美子 (佐藤 奈美子) 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (00535289)
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Keywords | イネ / カドミウム / 育種学 / 遺伝学 |
Research Abstract |
本研究では、カドミウム存在下で育成するとカドミウムを地上部に蓄積するイネ長香穀と、カドミウムを地下部に多く蓄積するイネ台中65号(T65)を用いて解析を行い、イネにおけるカドミウム蓄積機構の分子遺伝学的解明を目指した。 平成23年度には、OsHMA3遺伝子のRNAi系統を詳細に解析した結果、OsHMA3遺伝子が亜鉛を輸送する機能も持つことが明らかになった。ただし、その機能は、カドミウムの存在下のみで発現する。 T65の変異源処理済み集団を用いた突然変異体のスクリーニングにおいて同定されたstinky突然変異体はカドミウムに対する反応性を失っているだけでなく、葉の伸長や分げつ芽の形成にも異常が見られた。変異体内のカドミウム分布は野生型と違いがなかった。現在までの解析からは、イネがカドミウムに反応する際の矮化にSTINKY遺伝子が関与しているのではないかと考えている。 長香穀の変異源処理済み集団を用いた突然変異体のスクリーニングは現在進行中であり、少なくとも20系統のカドミウム感受性系統と2系統のカドミウム非感受性系統が得られている。 シロイヌナズナのCd蓄積に関わる遺伝子、窟AtHMA2~4のホモログであるOsHMA2遺伝子に関する解析では、突然変異体の解析を平成22年度に終え、平成23年度にはOsHMA2遺伝子の機能を酵母を用いて証明した。また、タンパクの細胞内局在性をタマネギの上皮細胞を用いて明らかにしたところ、OsHMA2タンパクは細胞膜上に局在した。OsHMA2遺伝子に関連する解析を総合すると、OsHMA2は根の導管と他の細胞の間に位置し、根で吸収したCdおよびZnを導管へ送り込み、地上部への移行を促進しているトランスポーターであると推察された。
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