2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780009
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
林 敬子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・病害抵抗性研究チーム, 主任研究員 (40391437)
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Keywords | 植物 / 抵抗性遺伝子 / 進化 |
Research Abstract |
本課題は、発現量の低下により休止型となったいもち病真性抵抗性遺伝子Pitの相同遺伝子における抵抗性喪失メカニズムの解明を目的としている。Pit遺伝子の抵抗性獲得の主要因として転写量が重要であったことから、インド型を含むイネ栽培品種や野生稲、および相同遺伝子が確認されているオオムギにおけるPit遺伝子の上流配列を解析した。感受性品種「日本晴」と同様に、他のインド型を含む栽培品種においても、塩基配列の類似性から「日本晴」と同様に長い5'-UTRを有するだけでなく、Pit遺伝子の上流にある遺伝子の構造も「日本晴」に類似することが示唆された。ゲノム構造の類似性は、AAゲノム以外の染色体をもつ野生稲にも見出されたことから、Pit遺伝子周辺の基本構造は、多くのOryza属野生イネに存在すると考えられる。次に、いもち病菌の感染報告がありPit相同遺伝子を確認したオオムギの上流配列とも比較した。「日本晴」や野生稲のORFの塩基配列と比較した場合は78~79%という高い相同性が見出されているにもかかわらず、上流配列では類似配列を見出すことができなかった。塩基配列としては全く異なるにもかかわらず、「日本晴」と同様に長い5'-UTRを有していた。このことは、進化の過程でイネとオオムギが分化した後も、長い5'-UTRの配列を保持する必要性があった可能性がある。この配列を解析するためオオムギのプロモーター配列および5'-UTR配列の下流にGUS遺伝子を繋いだ「日本晴」の組換え体を作出し、解析を進めているところである。
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Research Products
(3 results)