2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780009
|
Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
林 敬子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・病害虫研究領域, 主任研究員 (40391437)
|
Keywords | 育種学 / 植物 / 抵抗性遺伝子 / 進化 |
Research Abstract |
本課題は、発現量の低下により休止型となったいもち病真性抵抗性遺伝子Pitの相同遺伝子における抵抗性喪失メカニズムの解明を目的としている。Oryza属以外のイネ科植物のゲノムを解析した結果、オオムギに加え、コムギ、ライムギ、アワ、オーチャードグラス、イタリアンライグラスでPitの相同遺伝子を確認した。オオムギ、ライムギ、ミナトカモジグサには完全なORF構造を持つ系統が存在した。これらの上流配列は、Oryza属の配列と相同性は低く、オオムギ、コムギの転写活性はOryza属よりも低い可能性が示された。また、オオムギのPit相同遺伝子を過剰発現させた組み換え体を作出し、いもち検定を行ったが、「K59」と同程度の強い抵抗性は見出されなかったことから、いもち病菌の他のレースもしくは、他の病原菌に対する抵抗性遺伝子として機能している可能性がある。一方、O.brachyantha、O.longistaminalaの系統における相同遺伝子を過剰発現させた組み換え体を作出し、いもち検定を行ったが、「K59」と同程度の強い抵抗性は見出されなかったことから、少なくとも検定した系統では、イネのいもち病AVR-Pitの認識能は極めて低いと考えられた。その一方、Pit^<Npb>特有の上流配列は、Oryza属にのみ存在する配列であること、また転写量の違いが野生イネ系統間で存在している可能性が示されたことから、イネいもち病抵抗性遺伝子Pitとしての特性が、Oryza属で形成された可能性がある。
|
Research Products
(1 results)