2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中嶋 佳貴 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (50304340)
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Keywords | 未判定外来生物 / 水生植物 / ブラジルチドメグサ / セリ科チドメグサ属 / 要注意外来種 / 繁殖特性 / 開花結実特性 / 休眠特性 |
Research Abstract |
本課題は(1)「セリ科チドメグサ属の未判定外来生物H.umbellata、H.verticillataの生育特性」及び(2)「要注意外来種及び未判定外来生物の繁殖特性の把握」に取り組んだ。 (1)(1)「異なる栄養塩類条件下における繁殖特性の季節的変化」は秋季にコンテナ試験によりHyponex2000倍溶液、同10000倍溶液、児島湖水、河川水及び水道水を3cm堪水条件で設定し、特定外来生物ブラジルチドメグサを含む3草種の横走茎切断片における栄養繁殖特性の差異を調査した。実験開始後、Hyponex溶液のみ速やかに再生し、濃度の高い2000倍溶液の生長量は非常に多かった。解析結果からブラジルチドメグサは分枝が発生する節数の増加能力に優れ、H.verticillataは乾物生産が少なくても細い分枝を生産して群落を拡大し、H.umbellataは横走茎1本あたりの乾物生産力が高いことを確認した。 (1)(2)「開花結実特性及び種子発芽特性の把握」は(1)では開花せず、岡山大学圃場の栽培群落から種子を採取した。H.umbellataは種子を見出せず、H.verticillataは多くの種子を生産していたが、採種直後は休眠状態にあったため5℃湿潤条件で貯蔵し、休眠覚醒程度を調査中である。なお、ブラジルチドメグサについては本年度初めて種子を採取し、黒色及び褐色種子は休眠性が浅いことを把握した。 (1)(3)「耐乾性の把握及び管理・防除方法の検討」は水耕栽培した群落を夏季に路面上に置いて乾燥に曝した。1週間後まで毎日横走茎を採取して湿土表面に移植したが、1日後でも再生せず、夏季は1日で枯死に至ることを確認した。また、春季の群落再生を抑制するために水田土壌で覆土した場合は10cm厚が必要であったが、植物リターをマルチとして活用すると5cm厚で嫌気条件となり枯死に至った。 (2)は岡山市南部における調査の結果、Lagarosiphon majorは旭川由来の用水路に多数存在し、笹ヶ瀬川以西には分布していなかった。また、群落形成には流れが緩慢で底泥の存在が重要であった。コンテナ試験の結果、切断茎から萌芽または不定根が発生し、オオカナダモやクロモと同様の繁殖様式を有していたが、競合すると本種は水面近くまで伸長して階層構造を作るため、密度増大により優占する可能性が高い。Limnobium laevigatumは葉身が消失しても基部の芽が残っていれば再生が可能で越冬性も有していたが、浮遊性のため流去する場合が多く、長期的な群落の維持は困難であると判断した。
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Research Products
(1 results)