2009 Fiscal Year Annual Research Report
水稲における穂内穎果の成長斉一性検定法の確立および関連QTL探索
Project/Area Number |
21780016
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
塚口 直史 Ishikawa Prefectural University, 生物資源環境学部, 講師 (40345492)
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Keywords | イネ / 穎果 / 成長斉一性 / QTL / 高温 / 成長停滞穎果 |
Research Abstract |
本研究はイネの穂内穎果の成長斉一性の評価法の確立、成長斉一性に関与するQTLの探索および成長斉一性と高温登熟性との関連を明らかにすることを目的とする。21年度は穂内穎果の成長斉一性評価法の確立および穎果の成長斉一性に対する高温の影響を明らかにすることを目的とした。穂内穎果の成長不斉一の一要因として開花後成長を開始しない発育停滞穎果の存在がある。グロースチャンバーで開花後のイネを栽培し、光条件および温度条件により成長停滞穎果を再現した。また数日おきに成長中の穎果の切除処理を行った。その結果、細胞分裂に関与するマーカー遺伝子の発現が成長停滞穎果では強く抑制されていたが、成長中の穎果の切除処理によりその発現が高まるとともに、それらの穎果は正常に登熟した。これらのことから成長停滞穎果は何らかの要因で成長が停滞しているが、登熟能を有していることがわかった。成長停滞穎果の内外穎を採取し、ヨード・ヨードカリ法による染色を行った結果、成長停滞穎果では染色されず、内外穎へのデンプンの蓄積が認められなかった。以上のことからヨード・ヨードカリ法により成長停滞穎果を識別することができることがわかり、穎果の成長斉一性の評価法として利用可能であることがわかった。この評価法を用いて22年度以降、穎果の成長斉一性に関与するQTLの探索を行う。ただし、この方法は受精障害等による不稔が生じない条件で有効である。穎果のデンプン蓄積期の成長斉一性は弱光条件で顕著に低下し、イネ体の糖レベルと密接に関わることが示唆された。またデンプン蓄積期の穎果の成長斉一性は、光条件に関わらず、高温により顕著に高まった。今後高温下で成長斉一性が高まるメカニズムおよび収量低下や品質低下との関係を明らかにする予定である。
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Research Products
(1 results)