2011 Fiscal Year Annual Research Report
水稲における穂内穎果の成長斉一性検定法の確立および関連QTL探索
Project/Area Number |
21780016
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
塚口 直史 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (40345492)
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Keywords | イネ / 穎果 / 成長斉一性 / 成長停滞穎果 / QTL / 高温 |
Research Abstract |
本研究はイネの穂内穎果の成長斉一性の評価法の確立、成長斉一性に関与する量的遺伝子座(QTL)の探索および成長斉一性と高温登熟性との関連を明らかにすることを目的とした。23年度は、コシヒカリ/Kasalathの染色体断片置換系統(CSSL)に対して、穎果のヨード・ヨードカリ法による成長斉一性の検定を行い、高密度籾割合、および高温登熟性との関連を調査した。また穎果の成長斉一性に関与する植物ホルモンの候補として挙げられるアブシジン酸を穎果各組織において定量するとともにABAの外部施用が子実成長に及ぼす影響を調査した。その結果、ヨード・ヨードカリ法による成長斉一性が大きい、すなわち穂内穎果の成長格差が小さいものほど高密度籾割合が大きい傾向が認められ、穎果の成長斉一性が低いことは効率的な登熟に有用な形質であることが示唆された。その一方で、高温登熟性に優れる系統で必ずしも穎果の成長斉一性は低くなく、両者の間には一定の関係は認められなかった。また、胚乳、胚および種皮のABA濃度は穎果の成長速度と高い相関関係が認められ、高温登熟環境ではこれらのABA濃度は著しく低下した。登熟初期の穎果へのABAの施用により、特に弱勢穎果の成長が促進され、穎果の成長斉一性へのABAの関与が示された。以上のように、穂内穎果の成長斉一性にABAが関与することが示唆され、また高温環境では胚乳におけるABA濃度が低下することから、登熟性と穂内穎果成長斉一性は何らかの関係が存在することが示唆された。本研究ではそのメカニズム解明には至らなかったが、穂内の穎果の成長斉一性の低いことが良登熟性に寄与することを明らかにし、また穎果の成長斉一性の低い系統を同定することができた。
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Research Products
(4 results)