2010 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物のモンシロチョウ誘引成分の同定との生物間相互作用の解明
Project/Area Number |
21780027
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
池浦 博美 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究員 (10440158)
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Keywords | モンシロチョウ / 揮発性成分 / 誘引成分 |
Research Abstract |
環境や人体に配慮した生物農薬の開発を目的とし、その中で、モンシロチョウ雌成虫が寄主植物であるアブラナ科植物を特異的に探索・産卵する要因が揮発性成分であることから、アブラナ科植物放出揮発性成分とモンシロチョウのコミュニケーションシステムを解明するために、キャベツが生育期間中に放出する揮発性成分の組成と放出量の変動とモンシロチョウ雌成虫の飛来選好性を調査した。アブラナ科植物の放出する揮発性成分の回収にあたり樹脂等の検討では、10mlのPorapak Qカラムが成分数および成分量ともに最適であることが判断された。この樹脂を使用し、収穫期キャベツの1日の放出揮発性成分の変動を調査したところ、各成分によって最大放出時間は異なったが、総放出揮発性成分量は8時30分で約23ppmと最大となり、この時間以降夜間まで徐々に減少傾向を示した。この1日の放出揮発性成分量の変動に対するモンシロチョウ雌成虫の飛来数および産卵数は、それぞれ12時~13時で最大となることが判明した。また、各時間における放出揮発性回収液に対するモンシロチョウ雌成虫の選好性は、10時30分の回収液で約70%と最大となり、6時30分~14時30分までの放出揮発性回収液に対して有意に選好することが明らかとなった。このことから、アブラナ科キャベツの揮発性成分の最大放出時間とモンシロチョウ雌成虫の最大飛来時間には若干のずれはあるがほぼ一致しており、モンシロチョウ雌成虫は、キャベツの放出する揮発性成分を認識して飛来していることが判明し、植物の放出する揮発性成分が昆虫のコミュニケーションの媒介役を担っていることが示唆された。
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