2010 Fiscal Year Annual Research Report
キクの花序構成決定における温度反応特性および発現遺伝子の解析
Project/Area Number |
21780032
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
長菅 香織 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・寒冷地野菜花き研究チーム, 主任研究員 (30370612)
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Keywords | キク / 花序構成 / 温度 / 小花 / 舌状花 / 管状花 / 形態学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
本研究は、キクの花序を構成する、舌状花および管状花の数や構成比の決定における温度反応特性の解明および関連遺伝子の解析を行い、品質向上のための新たな技術開発や品種選抜・育種に繋げることを目的としている。昨年度、夏秋ギク型輪ギク'岩の白扇'では小花形成前期における高温で管状花が減少し、'精の波'では元来管状花が顕著に少ない品種であることを明らかにした。本年度は、他の品種群での花序構成決定における温度反応および管状花の増減に関与する遺伝子断片について調査した。 秋ギク型輪ギク'神馬'および小ギク'夏子'を、花芽が総苞形成期に達した時期から、花芽発達段階ごとに高温および対照温度に5日間ずつ遭遇させ、舌状花数および管状花数、全体に占める管状花の割合(管状花率)を調査した。'神馬'では、花弁形成前期における33/28℃(昼/夜温、12時間日長)遭遇で、管状花が23/18℃遭遇に比べて有意に増加した。また、'夏子'では、いずれの時期でも平均27.2℃(自然日長下のプラスチックハウス)遭遇に比べて、33/28℃(12時間日長)遭遇で舌状花が減少し、管状花率は高かった。以上より、これらの品種では、'岩の白扇'とは異なり、高温で管状花が増加する傾向が認められた。これらの品種は、遺伝子解析において、'岩の白扇'との比較評価に利用できると考えられた。 次に、'岩の白扇'および'精の波'において、ランダムプライマーを使ったPCR増幅産物を比較調査した。'岩の白扇'で管状花が減少した、小花形成前期から高温遭遇させた株と対照温度に遭遇させた株との間で、14の多型遺伝子断片が認められた。そのうち、高温遭遇により特異的に発現したものは11断片であり、さらに、管状花が著しく少ない'精の波'で発現したものは8断片であった。これらは、管状花形成の抑制に関与する遺伝子候補断片として、今後、特性解析を進める予定である。
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