2010 Fiscal Year Annual Research Report
OsRac1複合体を介した植物免疫応答のプロテオーム解析
Project/Area Number |
21780036
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
藤原 正幸 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特任助教 (70403350)
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Keywords | 植物自然免疫 / プロテオーム / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究はイネ免疫システムを制御しているOsRac1がイネ生細胞中で複合体として存在しているか、存在しているならどのような動態を示すのかを明らかに、その機能を解明するために行っている。 生化学的手法であるゲルろ過による分子量分画実験を行うことで、OsRac1が活性化状態であると不活性状態の時に比べて大きな複合体を形成することを明らかにした。免疫応答を誘導する物質エリシターの刺激によってもOsRac1が大きな複合体中にシフトすることを明らかにした。この現象がエリシター刺激後3~10分といった免疫応答初期段階でのみ見られ、30分以上を経過するとだと不活性状態時の大きさに戻ることが分かった。これらの結果からOsRac1が活性化状態にのみ大きな複合体として存在しており、免疫システムを制御し、過剰な免疫応答を示さないために一定の時間が経過した後には不活性化状態の複合体に戻ることが示された。また刺激後3~10分の際にはOsRac1が脂質ラフトと呼ばれる膜画分に局在することを明らかにしたので、この画分とOsRac1複合体との関与を示すことができたといえる。 複合体を構成する因子の解析については、これまでOsRac1との相互作用が知られていたもののうち4つがOsRac1複合体に存在することを確認することができたが、当該年度ではさらに2つの免疫受容体がOsRac1複合体に含まれるかどうかを免疫沈降法、ゲルろ過により調べた。その結果、OsCERK1とPitという異なる信号伝達経路上に存在する免疫受容体がOsRac1複合体に含まれていることを明らかにした。これら受容体は同時にOsRac1複合体に含まれることがないことから、それぞれがシグナルを受容する際にOsRac1複合体中に存在することが、免疫応答を制御する上で重要であると考えられた。
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