2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス応答分子によって発現調節される細胞内感染防御遺伝子の探索
Project/Area Number |
21780045
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
寺島 潤 Iwate Medical University, 薬学部, 助手 (60400272)
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Keywords | 昆虫分子生物学 / 感染防御 |
Research Abstract |
我々はDrosophilaにカイコガの寄生虫である物Nosema Bombycisを経口感染させる実験系を確立し、感染依存的にエクジステロイド応答遺伝子群の一つであるE75Bの発現が上昇することを明らかにした。また、Drosophila E75B変異体に、Nosema Bombycisを食下させると生存率が低下し、そのDrosophilaの消化管細胞内にNosema Bombycisが侵入していること、Drosophila細胞内で増殖している可能性が高いことを明らかにした。これらのことからE75B変異体の生存率の低下はNosema Bombycisの消化管細胞への感染、増殖が原因であると考えられる。しかしErwinia carotovoraなどのバクテリアを食下させた場合は生存率の低下が見られない。異物感染時のE75B発現上昇はrelishに依存するが、Relish変異体にErwinia carotovoraを食下させると生存率が低下する。これらの結果を考えると、E75Bは細胞内に侵入する異物特異的な防御因子である可能性が高い。現在は、relishをターミナルとして、細胞内に侵入した異物の感染防御経路とそれ以外の感染防御経路が分岐しており、E75Bは細胞内に侵入した異物に対する感染防御を受け持っていると予想している。 Drosophila E75B変異体は熱、栄養飢餓などのストレスに対して脆弱であることは知られていたが、具体的にそれらのストレス対抗するためにE75Bがどのような役割を担っているかは不明であった。本研究ではE75Bの感染ストレスに対抗するための役割が徐々に明らかになっている。個体発生において、E75Bは転写調節因子として作用することが知られており、異物感染においても感染防御に対するエフェクター分子の転写に関与している可能性がある。
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