2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本産アゲハチョウと寄主植物との共進化の化学的解明:アオスジアゲハの産卵刺激物質
Project/Area Number |
21780048
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
手林 慎一 高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (70325405)
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Keywords | 寄主選択 / 産卵刺激 / 摂食刺激 / アオスジアゲハ / Chlorogenic acid / 3-0-Glu-Quercetin |
Research Abstract |
本研究ではアオスジアゲハの産卵刺激物質を単離・同定し、日本産アゲハチョウ亜科のチョウと寄主植物の共進化における化学物質の役割の体系的な研究を完成させることを目的とした。 野外の網室の中でアオスジアゲハの産卵行動を人工的に再現させるために網室内にクスノキ抽出物を溶解した寒天ゲルで表面を覆ったクスノキ新鞘を設置し、さらに誘因刺激としてdecanalとnonanalを加えた産卵刺激活性評価システムを構築した。このシステムを用いてアオスジアゲハ幼虫の摂食刺激物質として同定したショ糖、Chlorogenic acid、3-0-Glu-Quercetin、α-Linolenic acidの活性を評価することで産卵刺激活性の発現にはChlorogenic acid、3-0-Glu-Quercetinが必要であることを解明した。これにより、ウマノスズクサ科を寄主としアリストロキア酸類・サイクリトール・桂皮酸誘導体類を産卵刺激物質としているジャコウアゲハ族と、主にミカン科を寄主としフラボノイド類・サイクリトール類・桂皮酸誘導体類・含窒素化合物類を産卵刺激物質としているアゲハチョウ族の中間に位置し、クスノキ科を主要寄主とするアオスジアゲハはフラボノイド類と桂皮酸類縁体を産卵刺激物質として利用していることが判明し、ジャコウアゲハ族の産卵刺激物質より真正アゲハ族のそれに近いことが判明し、アゲハチョウの食草進化に植物に含まれる化学物質が深く関与していることが証明された。 さらにアオスジアゲハの食草として知られるゲッケイジュ・シロダモ・タブノキにはChlorogenic acid、3-0一Glu-Quercetinの両化合物が含まれることが判明し、近縁種の寄主であるヒュウガナツ・ブンタン・レモンにはChlorogenic acidが含まれず食草と産卵刺激物質の存在が一致していた。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Feeding stimulant in Cinnamomum camphora for the common bluebottle, Graphium sarpedon nipponum (Lepidoptera : Papilionidae).2010
Author(s)
i, J., Wakui, R., Horie, M., Nishimura, Y., Nishiyama, Y., Ikeno, Y., Tebayashi, S., Kim, C.-S.
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Journal Title
Zeitschrift fur Naturforschung-Section C Journal of Biosciences
Volume: 65 C (9-10)
Pages: 571-576
Peer Reviewed
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[Journal Article] Volatile attractants for the common bluebottle, graphium sarpedon nipponum. from the host, cinnamomum camphora.2010
Author(s)
Li, J., Wakui, R., Tebayashi, S.-I., Kim, C.-S.
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology and Biochemistry
Volume: 74 (10)
Pages: 1987-1990
Peer Reviewed
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