2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規ピレスロイド代謝酵素の機能解析ならびに特異的農薬開発への応用
Project/Area Number |
21780049
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 幸治 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (00346834)
|
Keywords | 応用昆虫 / 分子生物学 / 農薬 |
Research Abstract |
研究代表者は、これまでカイコ(bombyx mori)より5種類のグルタチオン転移酵素(GST)、すなわちdelta(bmGSTD)、epsilon(bmGSTE)、sigma(bmGSTS)、omega(bmGSTO)そしてzeta class(bmGSTZ)のクローニングに成功している。本年度は、新たにカイコのunclassified GST(bmGSTU)を同定した。bmGSTU cDNAをクローニングした後、ほぼ全長領域そしてORF部分を決定することができた。RT-PCR分析の結果、そのmRNAは、カイコ5齢幼虫の脂肪組織ならびに中腸組織中に局在していた。bmGSTUの機能解析を目的とし、組換えタンパク質作製システムを構築し、硫安分画、疎水クロマトグラフィーそして陰イオン交換クロマトグラフィーの各手法を用いて電気泳動的に均一に組換えタンパク質を精製した。精製タンパク質の基質1-クロロ-2,4-ジニトロベンゼン(CDNB)に対する至適pHは8であり、50度以下ならびにpH6から9の範囲内で安定であった。この条件下において、基質特異性について検討したところ、CDNBに対してグルタチオン転移活性は観察されたが、内因性の脂質過酸化物4-ヒドロキシノネナル(4-HNE)に対して活性は見られなかった。競合阻害アッセイ法にて調査した結果、bmGSTUは、農薬ピレスロイド剤であるパーメスリンと親和性を有することが分かった。カイコ5齢幼虫にパーメスリンを作用させた結果、bmGSTU mRNAの有意な増加が見られることにより、bmGSTUはパーメスリンの解毒に関与する可能性が示唆された。 また今後に向けて、bmGSTUアミノ酸配列中に存在するSerそしてTyrをAlaに置換した変異体を部位特異的アミノ酸置換法により作製した。これによりbmGSTUの活性に関与するアミノ酸残基を明らかにすることが可能となる。さらには、ウサギを用いた抗bmGSTUポリクローナル抗体の作製を終了した。
|
Research Products
(4 results)