2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミカンキジラミ体内におけるカンキツグリーニング病細菌の局在及び増殖部位の解明
Project/Area Number |
21780051
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
井上 広光 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所カンキツグリーニング病研究チーム, 主任研究員 (80414663)
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Keywords | 昆虫 / 植物病 / 細菌 / 細胞・組織 / in situハイブリダイゼーション / 虫媒伝染 |
Research Abstract |
本研究課題では、カンキツ樹を枯死に至らしめるカンキツグリーニング病について、その媒介昆虫であるミカンキジラミの体内における病原細菌の局在・増殖部位と伝搬能力の関連を、伝搬試験とリアルタイムPCR法およびin situハイブリダイゼーション(ISH)法を駆使して解明する。平成22年度は、虫体内の各器官・組織の位置、特に伝搬性保毒虫体内で病原細菌が高濃度に増殖すると予想される唾液腺の位置を確認したほか、虫体組織と核酸が最も良く保存されるサンプル固定法、そして酵素処理および非放射性標識プローブISH法にかかる諸条件について検討を行い、最適化を図った。病原細菌遺伝子に特異的なプローブを設計してISHを行ったが、病原細菌の局在を示す明瞭なシグナルは得られなかった。使用したサンプルが確実に保毒していなかった可能性も考えられた。 個体伝搬試験に使用した保毒虫303個体の虫体を頭部~前胸部(唾液腺を含む)と中胸部~腹部に分割して各部位の病原細菌濃度をリアルタイムPCR法で定量し、細菌濃度を独立変数、伝搬試験結果を従属変数とする多重ロジスティック回帰分析を行った結果、頭部~前胸部の細菌濃度が伝搬結果に与える影響は有意で、中胸部~腹部の細菌濃度は有意ではなかった。また、頭部~前胸部に保毒しない保毒虫108個体は伝搬せず、この部位の細菌濃度が高いほど伝搬確率が高かった。病原細菌の唾液腺における局在と増殖が保毒虫の伝搬能力を左右することが強く示唆された。
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