2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル過剰土壌における植物の鉄欠乏症発生と抑制法開発に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
21780054
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水野 隆文 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (50346003)
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Keywords | ニッケル / 鉄 / 競合吸収 / シロイヌナズナ / IRT1 |
Research Abstract |
(1) タカネグンバイとシロイヌナズナの鉄-ニッケル吸収競合に関する基礎的知見の獲得 植物におけるニッケルの吸収が鉄の輸送経路を介していることを証明するため、水耕条件で栽培したシロイヌナズナについて、ニッケルと鉄の吸収競合を検討した。約4週間前培養を行ったシロイヌナズナ(Col-0株)を、鉄濃度0、8.7μM、および亜鉛濃度0、5μMの水耕液に移植し、そこに25μMのニッケルを添加して1週間栽培を行った。その後、植物体を回収し、根のニッケル濃度を測定した。その結果、鉄欠乏条件で生育した植物体でニッケル集積量が54.3%増加し、亜鉛欠乏条件では31.9%増加した結果となった。これらのことから、シロイヌナズナの根において、ニッケルは鉄や亜鉛の取り込みに関わるトランスポーターから取り込まれることが明らかとなった。 (2) シロイヌナズナ由来鉄/亜鉛トランスポーターIRT1およびIRT2のニッケル輸送能の検討 シロイヌナズナにおける鉄獲得の主要経路である鉄/亜鉛トランスポーターIRT1およびIRT2について、これらのトランスポーターを発現する酵母を作製し、この酵母の培養液を500μMのニッケルを含む寒天培地上にスポッティングし生育を観察した。その結果、コントロール株およびAtIRT2発現酵母では生育阻害が確認されなかったのに対し、AtIRT1発現酵母のみ生育が阻害された。また、同じ酵母を500μMとなるようニッケルを添加した液体培地で2時間培養し、吸収したニッケル量を測定したところ、AtIRT1発現酵母においてコントロール株と比較してニッケル集積量の有意な増加が示された。これより、AtIRT1がシロイヌナズナの根においてニッケルの吸収を行うことが強く示唆される結果を得た。
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Research Products
(9 results)