2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780057
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山地 直樹 Okayama University, 資源生物科学研究所, 助教 (00444646)
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Keywords | 植物生長・生理 / アルミニウム / イネ / 転写因子 / 耐性 |
Research Abstract |
酸性土壌におけるアルミニウム(Al)イオン毒性に対して、イネなどの一部の植物ではAl耐性遺伝子群の発現が誘導され、高いAl耐性を発揮する。応募者らはイネAl感受性変異体の原因遺伝子として新規転写調節因子ART1(STAR3)の遺伝子を単離し、多くのAl耐性遺伝子の発現応答に関与していることを明らかにしてきた。本研究ではART1が認識するシス配列を決定し、ART1の活性化機構を通じたAlシグナル伝達機構の解明と、高Al耐性イネの作出を目指す。 21年度は、ART1が制御するAl耐性遺伝子の1つであるSTAR1のプロモーター領域において、ART1の認識するシス配列が転写開始点上流-436~-297の約260bpの範囲に含まれることを酵母one-hybrid法によって確かめた。また、ART1は根のほぼ全ての細胞においてAlに応答せず構成的に発現し、核に局在すること、転写活性化能を有することなどの研究成果とともに論文に発表した(Yamaji et al., Plant Cell, 2009)。また、ART1と相互作用する因子をプルダウンするため、HaloTagを付加したART1融合タンパク質のコンストラクトを作成し、まずコムギ胚芽無細胞タンパク質発現系を用いた融合タンパク質の発現とSTAR1プロモーター配列への結合活性を確認した。現在このコンストラクトを導入した形質転換イネを作成している。また、ユビキチンプロモーターおよびSTAR1プロモーター制御下にART1遺伝子を高発現するコンストラクトを作成し、イネ植物体に導入した形質転換イネ系統を複数作成した。これらの形質転換イネにおいてはART1およびその下流のAl耐性遺伝子であるSTAR1, STAR2の発現が著しく増大していることを確認した。STAR1プロモーター制御下にART1遺伝子を導入した系統では、野生型とは異なりART1の発現がAlによって増大することを確認した。今後これらの形質転換イネについてAl耐性等の評価を行う。
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Research Products
(3 results)