2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780058
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
小林 創平 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター根圏域研究チーム, 主任研究員 (10414765)
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Keywords | トクモロコシ / アーバスキュラー菌根菌 / 感染率 / 品種・系統間差 / 進化 |
Research Abstract |
トウモロコシは、根にリン酸吸収を補助するアーバスキュラー菌根菌が共生(感染)する。根の菌根菌感染率は、トウモロコシの系統、品種間で異なることから、品種改良にともなって、根-菌根菌共生系が変化(進化)した可能性がある。本研究は、減化学肥料型の栽培体系や品種の開発に向けて、品種改良にともなう根-菌根菌共生系の変化の解明を目指している。本年度は、トウモロコシ遺伝資源を栽培して、根内に形成された菌根を染色し、一部の植物サンプルの菌感染率を計測するとともに、次年度以降の歯相解析のために、別途、根サンプルを凍結保存した。昨年度までの試験結果と合わせて統計解析したところ、トウモロコシの近代F_1雑種(品種)、日本在来品種及び自殖系統(F_1雑種の作成に利用される親)のそれぞれで、生育初期の菌根菌感染率には品種・系統間差が認められた。近代F_1雑種と在来種の感染率を比べた結果、近代F_1雑種の値が高いことから、化学肥料依存型の近代トウモロコシ育種によって菌根菌の感染性は低下していないと推察された。近代F_1雑種の親を含む自殖系統では、一部の地域で育成された系統群が、他地域の系統群と比べて、高い感染率を示す傾向にあったことから、特定の遺伝資源には感染を促進する遺伝的要因が存在すると思われた。これらの結果から、品種改良によりトウモロコシの菌根菌感染性は変化(進化)していると推測されるが、変化の方向性は、従来の予測とは異なっていた。
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