2009 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオンによるカルビン回路制御における標的因子の同定とその分子機構の解明
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21780061
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Research Institution | Research Institute for Biological Science Okayama |
Principal Investigator |
岩崎 郁 Research Institute for Biological Science Okayama, その他, 流動研究員 (40443593)
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Keywords | グルタチオン / 二酸化炭素固定 / 光合成 / カルビン回路 / アルドラーゼ |
Research Abstract |
グルタチオンは、植物では活性酸素消去系で重要な役割を果たすほか、異物の解毒などに機能することが知られている。所属研究グループではグルタチオンが発芽や花成、細胞分化など植物の生長制御にも関わることを明らからにしてきた。本研究では、グルタチオンが光合成・カルビン回路を制御するメカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度は、これまでにグルタチオン結合タンパクとして同定されたカルビン回路酵素フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(FBA)の機能を明らかにするため、シロイヌナズナ変異体を用いて解析をおこなった。シロイヌナズナでは3種の葉緑体型FBAアイソザイムが存在する。野生型植物において、葉緑体型FBAの全アイソザイムのタンパクの存在比は、従来からカルビン回路酵素とされてきたFBA2とFBA3がそれぞれ0.28と0.70であったのに対し、グルタチオン結合性であるFBA1は0.02であった。FBA1の蓄積量や機能が低下した変異体とFBA2、FBA3が欠損した変異体を用いて、二酸化炭素固定能や糖の蓄積量を解析した結果、存在量の少ないFBA1がカルビン回路において重要な機能を果たすことが示唆された。野生型植物とfba変異体のFBAタンパク量とFBA活性から重回帰分析をおこなった結果、FBA1はFBA2、3に比べフルクトース-1,6-ビスリン酸を合成する活性が高く、グルタチオンによって活性が上昇することが示唆されたことから、FBA1におけるグルタチオンによる活性制御がカルビン回路に重要であると考えられる。また、内生グルタチオンの局在、蓄積量を変えたシロイヌナズナ形質転換植物を作出した。内生グルタチオンと光合成との関係を明らかにするため、来年度以降解析をおこなう予定である。
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Research Products
(1 results)