2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原菌のクオラムセンシングによる病原性発現機構の解析と防除技術への応用
Project/Area Number |
21780063
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
諸星 知広 Utsunomiya University, 工学研究科, 助教 (90361360)
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Keywords | クオラムセンシング / アシル化ホモセリンラクトン / 植物病原菌 / 菌体外多糖 / 病原性因子 |
Research Abstract |
モデル植物病原菌として用いたPantoea ananatisは、AHLを介したクオラムセンシングにより宿主への病原性発現を制御しているが、主要な病原性因子は明らかになっていない。本研究では、クオラムセンシングにより制御される因子を網羅的に解析することで、未知の病原性因子を明らかにする事を目的とした。P.ananatis SK-1株のAHL合成遺伝子破壊株を用いて、親株とフェノタイプを比較したところ、菌体外多糖生産、菌体凝集、カロテノイド生産がクオラムセンシングにより制御されることが明らかとなった。本年度は、他の植物病原菌において主要な病原性因子として報告されている菌体外多糖生産とクオラムセンシングとの関係について詳細な解析を行った。SK-1株にトランスポゾンを用いてランダム変異を導入し、菌体外多糖生産を示さない変異株を探索したところ、2株取得することに成功した。これらの変異株のトランスポゾン転移点を特定したところ、腸内細菌科において遺伝子発現制御因子として機能するrcsAおよびrcsBの相同遺伝子がそれぞれ破壊されていることが明らかとなった。次に、rcsAおよびrcsBとクオラムセンシングとの関係を調べるため、AHL合成遺伝子破壊株内でプラスミド上のrcsAおよびrcsBを発現誘導させた。その結果、AHL合成遺伝子破壊株内でrcsAを発現誘導させても菌体外多糖生産は見られなかったが、さらにAHLを添加することで発現が誘導された。その一方で、rcsBを発現誘導させると、AHLが存在しなくても菌体外多糖が生産されることが明らかとなった。このことから、rcsBの発現がAHLを介したクオラムセンシングにより制御される可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)