2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原菌のクオラムセンシングによる病原性発現機構の解析と防除技術への応用
Project/Area Number |
21780063
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
諸星 知広 宇都宮大学, 工学研究科, 助教 (90361360)
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Keywords | クオラムセンシング / アシル化ホモセリンラクトン / 植物病原菌 / 菌体凝集 / アドヘシン |
Research Abstract |
モデル植物病原菌として用いたPantoea ananatis SK-1株は、アシル化ホモセリンラクトン(AHL)を介したクオラムセンシングにより宿主への病原性発現を制御しているが、主要な病原性因子は明らかになっていない。本年度は、クオラムセンシングにより制御される因子の中でも、特に菌体凝集にターゲットを絞り解析を行った。SK-1株のAHL合成遺伝子破壊株培養液を静置すると、SK-1野生株では見られない特異的な菌体凝集現象が現れることを見出した。さらに、AHL合成遺伝子破壊株培養液にあらかじめAHLを添加しておくと、SK-1野生株と同様に凝集が見られなくなったことから、この凝集がAHLを介したクオラムセンシングにより制御されることが明らかとなった。次に、凝集率の経時変化を調べたところ、SK-1野生株でも対数増殖後期までは凝集率が上昇するが、菌体密度の上昇とともに凝集率が低下したことから、SK-1株はクオラムセンシングにより何らかの凝集抑制因子を発現することで分散することが明らかとなった。この凝集抑制因子を特定するため、SK-1株にトランスポゾン変異を導入し、構成的に凝集を示す変異株の作成を試みたところ、凝集性変異株を1株取得することに成功し、そのトランスポゾン転移点を調べたところ、宿主への付着に関係するアドヘシン様タンパク質をコードするyeeJ遺伝子が破壊されていることが明らかとなった。このyeeJの発現制御をRT-PCRにより調べたところ、AHL合成遺伝子破壊株ではyeeJの発現が見られないが、AHLを添加することでSK-1野生株と同程度まで発現が誘導されたことから、yeeJの発現がAHLを介したクオラムセンシングにより制御される可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)