2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原菌のクオラムセンシングによる病原性発現機構の解析と防除技術への応用
Project/Area Number |
21780063
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
諸星 知広 宇都宮大学, 工学研究科, 助教 (90361360)
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Keywords | クオラムセンシング / アシル化ホモセリンラクトン / 植物病原菌 / 転写制御 |
Research Abstract |
モデル植物病原菌として用いたPantoea ananatis SK-1株は、アシル化ホモセリンラクトン(AHL)を介したクオラムセンシングにより宿主への病原性発現を制御しているが、主要な病原性因子は明らかになっていない。本年度は、SK-1株においてクオラムセンシングにより発現が制御される遺伝子の網羅的な解析を行った。昨年度の研究で、菌体凝集抑制因子であるアドヘシン様タンパク質をコードするyeeJ」の転写制御を解析したところ、AHLを介したクオラムセンシングによりyeeJ」の転写が活性化することを明らかにした。この結果を元に、yeeJの転写がSK-1株のAHL合成遺伝子破壊株では見られず、AHLを添加することでSK-1野生株と同等のレベルまで誘導される培養条件を決定した。その条件下で各菌株から全RNAを抽出するとともに、逆転写酵素を用いてcDNAを調製した。AHLを介したクオラムセンシングにより転写が誘導される遺伝子を特定するため、DNAマイクロアレイ解析を行った。DNAマイクロアレイ解析を行うための遺伝子情報には、すでに全ゲノムが明らかになっているユーカリ病原菌P.ananatis LMG20103株の塩基配列データベースを利用した。LMG20103株ゲノム情報から推定されるすべてのオープンリーディングフレームの塩基配列からカスタムアレイを作製し、ラベル化したcDNAを用いてアレイ解析を行った。クオラムセンシングにより転写が制御される遺伝子の特定条件として、SK-1株と比較してAHL合成遺伝子破壊株では顕著に転写量が減少し、AHLを添加することで発現量が5倍以上に増加する遺伝子を探索した。その結果、複数の遺伝子を特定することに成功し、その中から12の遺伝子をそれぞれ破壊したが、病原性が低下する破壊株の取得には至らなかった。
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Research Products
(4 results)