2009 Fiscal Year Annual Research Report
"多細胞生物"糸状菌における細胞質連絡の制御機構の解析
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21780065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 潤一 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (00431833)
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Keywords | 糸状菌 / 多細胞生物 / 細胞質連絡 / 隔壁孔 / 麹菌 |
Research Abstract |
子嚢菌類などの糸状菌は多細胞であり、隣接する細胞は隔壁にあいた小さな穴(隔壁孔)を通じて細胞質連絡を行っている。この細胞質連絡は、多細胞真核生物である動物や植物にも共通して見られる特徴である。本研究では、糸状菌における細胞質連絡を制御する分子機構を解析することで、多細胞真核生物のモデルとしての糸状菌解析を目指している。 本年度は、麹菌で隔壁孔に局在する2つのタンパク質の局在機構および機能について、変異および欠失解析を行った。AoSOタンパク質はストレス依存的に隔壁孔に凝集することから、環境に応じて細胞質連絡を制御している可能性が考えられる。AoSOの凝集機構を明らかにするために、出芽酵母に発現して欠失解析を行った。酵母においてもAoSOはストレス依存的に凝集することを確認したうえで、さらに欠失解析を行い、凝集に必要な領域を決定した。この知見をもとに、次年度では麹菌において隔壁孔に特異的に凝集する機構を解析する予定である。 また、AoFus3タンパク質は通常条件で隔壁孔に局在し、溶菌時に隔壁孔を塞ぎ隣接する細胞に溶菌が伝播するのを防ぐのに関与する。AoFus3は出芽酵母の接合フェロモン応答シグナル経路で働くMAPキナーゼFus3pのホモログであることから、多細胞の糸状菌特有の生育に有性生殖因子が転用される現象として興味深い。本年度は変異導入実験を行い、AoFus3がリン酸化されることは隔壁孔への局在に関係しなかったが、溶菌の伝播を防ぐ機能に必要であることを明らかにした。この結果から、AoFus3のMAPキナーゼのシグナル経路自体が隔壁孔の機能をコントロールしている可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)