2010 Fiscal Year Annual Research Report
"多細胞生物"糸状菌における細胞質連絡の制御機構の解析
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21780065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 潤一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (00431833)
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Keywords | 糸状菌 / 多細胞生物 / 細胞質連絡 / 隔壁孔 / 麹菌 / ペルオキシソーム / ビタミン / ビオチン |
Research Abstract |
子嚢菌類に属する糸状菌は多細胞であり、隣接する細胞は隔壁にあいた小さな穴(隔壁孔)を通じて細胞質連絡を行っている。しかし、ある細胞が溶菌した場合、隣接する細胞に溶菌が伝播する危険を伴う。子嚢菌類に属する糸状菌に特異的なオルガネラWoronin bodyは隔壁孔をふさいで溶菌の伝播を防ぐ機能をもつ。しかし、溶菌の伝播を防ぐ分子機構について、Woronin body以外は、ほとんど解析が進んでいなかった。 前年度までに麹菌において、MAPキナーゼAoFus3タンパク質が隔壁孔に局在し、隣接する細胞への溶菌の伝播を防ぐ機能に関与することを明らかにした。本年度は、AoFus3が隔壁孔で機能するメカニズムを解析することを目的として、TAP(tandem affinity purification)タグを用い、相互作用するタンパク質をスクリーニングした。その結果、2つの新規タンパク質が同定され、これらがAoFus3と同様に隔壁孔に局在することを示した。 AoSOタンパク質はストレス依存的に隔壁孔に凝集することから、環境に応じて細胞質連絡が制御される可能性が示唆されている。前年度までに、AoSOの欠失解析によりストレス応答性の凝集に必要な領域を決定したが、本年度はAoSOの凝集が隔壁孔に局在するために必要な領域を同定した。 また、Woronin bodyがペルオキシソームから分化・形成する機構を解析するなかで、麹菌のペルオキシソーム機能欠損株がビオチン要求性を示すことを発見した。ビオチン生合成酵素のひとつであるBioFがペルオキシソームに局在し、そのペルオキシソーム局在がビオチン生合成に必要であることを証明した。以上により、ペルオキシソームがビオチンの生合成に関与することを世界で初めて発見した。
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Research Products
(9 results)