2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性付与による放線菌からのRNAポリメラーゼ変異株の分離と新抗生物質の探索
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21780068
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
保坂 毅 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (50391206)
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Keywords | 微生物潜在機能 / 薬剤耐性変異 / RNAポリメラーゼ / 放線菌 / 二次代謝産物生合成遺伝子 / 抗生物質生産 / 潜在遺伝子 |
Research Abstract |
放線菌は,抗生物質に代表される様々な二次代謝産物を生産することから,微生物産業上極めて有用な微生物群である.従って,放線菌における二次代謝産物生産能,すなわち抗生物質生産力の活性化とその活性化機構の解明は,放線菌の高度利用化に向けて重要な課題とされている. 1.薬剤耐性変異の活用による抗生物質非生産性放線菌の潜在能力開発.国内各地の土壌から分離した249菌株の放線菌から16菌株の抗生物質非生産性放線菌を得た.これらのうち,Streptomyces属やNocardia属と同定された8菌株の放線菌を用いて潜在的な抗生物質生産の活性化実験を進めたところ,実に5割の菌株を抗生物質生産菌へと改変できた.驚くべきことに,Streptomyces sp.THSU-2やTHSU-3においては,リファンピシン耐性変異により,極めて高い頻度(それぞれ43%と38%といった頻度)で活性化菌株が出現することを明らかにした. 2.RNAポリメラーゼ変異による放線菌の抗生物質生産活性化機構の解明.放線菌の抗生物質高生産リファンピシン耐性変異株では,RNAポリメラーゼβサブユニットをコードするrpoB遺伝子に特定の変異が存在し,これらの変異に起因して抗生物質生産が増大することが判っている.しかし,"どのような仕組みでrpoB変異が抗生物質生産を活性化させるのか?"その詳細なメカニズムは全く明らかになっていない.この問題を解決するために,本研究ではまず,モデル放線菌Streptomyces coelicolorを用いて抗生物質生産を強力に活性化させるrpoB変異の特定を行った.その結果,rpoBL167P変異やrpoB SI667変異が強力な抗生物質生産活性化作用を持つことを新たに突き止めた.今後は,これらのrpoB変異を有するリファンピシン耐性変異株のRNAポリメラーゼの転写機能を解析する予定である.
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Research Products
(6 results)