2009 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスRNA発現系を用いた微生物代謝改変技術の最適化
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21780071
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平沢 敬 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 助教 (20407125)
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Keywords | コリネ型細菌 / グルタミン酸 / アンチセンスRNA / 2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体 / OdhA |
Research Abstract |
微生物を用いた物質生産を行う際、目的とする物質の生産へと代謝の流れを向かわせるために、さまざまな代謝経路を遮断することが要求される。通常、代謝経路の遮断には、その反応を触媒する酵素をコードする遺伝子を破壊するという手法がとられる。しかしながら、代謝経路の遮断が、増殖や糖消費の低下などの悪影響をもたらす場合もある。そのため、当該代謝経路を完全には遮断せずに、流量を小さくするための遺伝子操作技術が必要となる。本研究では、グルタミン酸を著量生産することが知られているコリネ型細菌であるCorynebacterium glutamicumを材料に、C.glutamicumのTCAサイクルの酵素の1つである2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体について、触媒サブユニットE1oをコードするodhA遺伝子に対するアンチセンスRNA(以降asRNAと記述する)を細胞内に発現させる系を例に、odhA asRNAの発現と代謝の変化特にグルタミン酸生産の変化について解析した。本年度は、odhA mRNAの2次構造を考慮したasRNAの設計と評価、OdhAタンパク質の精製およびそれを用いて作成した抗OdhA抗体によるウェスタンブロット解析系の構築を行った。 odhA mRNAの2次構造を、2次構造予測プログラムを用いて予測し、1本鎖として露出する領域をターゲット領域として決定して、asRNA発現系を構築した。その結果、asRNAの発現だけではグルタミン酸生産を誘導させることはできなかった。しかしながら、ペニシリンや界面活性剤を添加してグルタミン酸生産を誘発させた条件下でasRNAを発現させると、グルタミン酸生産量を増大させる効果があることを見いだした。また、大腸菌で生産させ精製したC.glutamicumのOdhAとHis_6タグの融合タンパク質を用いて抗OdhA抗体を作成し、抗OdhA抗体を用いたウェスタンブロットによるC.glutamicum細胞内のOdhAタンパク質量をモニターする系を構築した。
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