2010 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンスRNA発現系を用いた微生物代謝改変技術の最適化
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21780071
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平沢 敬 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (20407125)
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Keywords | コリネ型細菌 / グルタミン酸 / アンチセンスRNA / 2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体 / OdhA |
Research Abstract |
本研究では、Corynebacterium glutamicumのTCAサイクルの酵素の1つである2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体(2-oxoglutarate dehydrogenase complex;ODHC)について、触媒サブユニットEloをコードするodhA遺伝子に対するアンチセンスRNA(以降asRNAと記述する)を細胞内に発現させる系を例に、odhA asRNAの発現と代謝の変化について解析した。なお、代謝の変化として、ODHC活性と密接な関係のあるグルタミン酸の生産量の変化をモニタした。平成22年度は、昨年度に引き続きodhA asRNAの設計と細胞内発現系の構築、odhA asRNAの発現によるODHC比活性の変化の測定を行い、発現させるasRNAの長さと代謝の変化の関係を解析した。 まず発現させるasRNAの長さとしてどの程度の長さのasRNAを発現させるのが効果的であるのかを検証するために、さまざまな長さのasRNAを発現させるプラスミドを構築してC.glutamicum細胞に導入し、グルタミン酸生産量の変化を調べた。その結果、発現させるasRNAの長さとグルタミン酸生産の変化との間に顕著な関係は見いだされなかったが、ほぼORF全長をカバーするasRNAを発現さすることによってC.glutamicumによるグルタミン酸生産を向上させることが可能となった。このとき、ODHC活性は低下していることを見いだした。 また、抗OdhA抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、asRNAの発現によりOdhAタンパク質の発現量がどのように変化するのか解析することを試みたが、asRNAの発現による顕著なOdhAタンパク質量の変化は見いだされなかった。 本研究により、asRNA発現系をC.glutamicumの代謝改変へ応用させることが可能であるということが示されたので、他の代謝系の改変への応用が期待できると考えられる。
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