2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌のジスルフィド結合形成酵素DsbAの新たな還元ストレス除去機能とその応用
Project/Area Number |
21780073
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大津 厳生 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (60395655)
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Keywords | ジスルフィド結合 / DsbA / 生育阻害 / ペリプラズム / システイン発酵 / システイントランスポーター / 大腸菌 / シスチン |
Research Abstract |
DsbA-DsbB-ユビキノン酸化システムによる還元ストレス除去機構の解明を目的に本年度は、還元ストレスにより蓄積したCys-Cysの細胞内再取り込みについて解析を行った。Cys-CysトランスポーターFliYの欠損株を用いて、平成21年度に確立した測定法により、ペリプラズム中のCys-Cysの蓄積を明らかにした。またアイソトープラベルしたCys-Cysはを用いて、FliY依存的に細胞内に取り込まれることを明らかにした。この知見を活用し、これまでに構築したCys発酵生産菌(生合成系の強化:フィードバック阻害非感受性型変異型セリンアセチルトランスフェラーゼの過剰発現と排出系の強化:CysトランスポーターYdeD過剰発現を有する)に、課題1)、2)の知見を活用し、DsbB欠損を組み合わせることで、CysのDsbAによるCys-Cysへの酸化を防ぎ、生育阻害を緩和することで、生産性の向上に成功した。また、培地に排出されたCysは次第にCys-Cysに酸化され、蓄積すると考えられる。そこでCys-Cys取り込み系の破壊(FliY)も併用し、さらなる生産性の向上に成功した。 以上のことから、毒性の高いCysを大腸菌の酸化環境であるペリプラズムでCys-Cysに酸化し毒性を下げることで、生育阻害を緩和し、生産性の向上につながったと示唆された。また、大腸菌の立場で考えるとこのDsbA-DsbB-ユビキノン酸化システムは、Cysのような還元剤に対するストレスへの防御システムとも考えることができる。
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Research Products
(10 results)