2009 Fiscal Year Annual Research Report
ATMT法による深在性真菌症治療薬ミカファンギンの生合成機構の解明
Project/Area Number |
21780079
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
山田 雅人 Toyama Prefectural University, 工学部, 助教 (40448692)
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Keywords | ミカファンギン / FR901379 / Coleophoma empetri / ATMT / NRPS / 変異解析 / スクリーニング / 抗生物質 |
Research Abstract |
深在性真菌症治療薬ミカファンギンは糸状菌Coleophoma empetriF-11899の生産するFR901379を原体として製造されている。このFR901379は構造特徴からNRPS(nonribosomal peptide synthetase)によって生合成されていると考えられるが、その生合成機構は不明である。そこで本研究では、ゲノム挿入型であるATMT(Agrobacterium tumefaciens-mediated transformation)形質転換法を用い、ゲノム挿入変異による変異株ライブラリーを作製し、FR901379非生産株をスクリーニングにより取得し、FR901379生合成関連遺伝子の単離と解析を試みた。 これまでに、C.empetriF-11899株のATMT挿入変異解析のための効率的な形質転換条件を確立した(Yamada et al., Curr Genet 2009)。この形質転換条件で得られた変異株をライブラリー化(約1万株)し、抗菌活性を指標としたFR901379生産減少株のスクリーニングを行った。さらにHPLC用いてこれら候補株菌体内FR901379の生産量を測定し、野生株に対してFR901379生産量が1%未満の非生産変異株を得た。この非生産株のサザン解析を行い、4株においてシングルコピーで挿入されていることを確認した。TAIL-PCR法とプラスミドレスキュー法を併用してT-DNA挿入近傍配列の解析を行い、FR901379生合成に関わる可能性の高い遺伝子配列を見出すことに成功した。 本研究成果をさらに適進させ、糸状菌が進化過程で獲得してきた独自の生合成機構の解明と、産業へその酵素を利用することは、生理活性物質の構造改変・修飾、新規の生理活性物質の創出に重要であり、広くは多様な抗生物質の実用化の途を拓くことが期待される。
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