2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780081
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
佐々木 康幸 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (50398814)
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Keywords | 窒素代謝 / 応用微生物 |
Research Abstract |
本研究は抗生物質、抗癌剤、免疫抑制剤など人類にとって非常に有用な微生物である放線菌の新規な窒素代謝系を分子レベルで明らかにし、各種発酵生産において本菌群の通気制御などの生育制御や、また本代謝系を利用した排水処理技術の開発などの応用面での目的と、さらには地球上の窒素サイクルの新たなが記述的知見を得ることを目的としている。 放線菌の3つの異化型硝酸塩還元酵素(dNar)の同時破壊株について調べた結果、抗生物質生産能に顕著に影響があることが示唆された。 また、本新規代謝系に関与すると考えられるFlavohemoglobinは、一般的には一酸化窒素を硝酸に酸化する酵素でnitrosative stressに対する防御酵素であることが知られているが、本菌では恒常的に発現しており、その生理的意義に注目した。そこで、遺伝子破壊株を作成し結果、遺伝子破壊株では野生株と比べて顕著に生育に影響が見られ、生育に遅れを生じた。さらに、二次代謝に影響が見られた。またFlavohemoglobin過剰発現株では、抗生物質生産能が上昇した。 放線菌に見出した新規窒素代謝系について前年度までにいくつかを明らかとしたが、さらに本年度では、以上のように、本代謝系においてこれまで例のない新規な発見をいくつかできた。これらの結果は、放線菌の持つdNar及びFlavohemoglobinの新規生理機能を十分示唆しており、今後の興味深い課題を提供した。
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