2009 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性細菌由来新規コレステロール酸化酵素の高度安定性機構の解明
Project/Area Number |
21780082
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
道久 則之 Toyo University, 生命科学部, 准教授 (60302957)
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Keywords | コレステロール / コレステロールオキシダーゼ / 臨床検査 / Chromobacterium / グラム陰性細菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、熱、界面活性、有機溶媒に対してこれまで報告されたコレステロールオキシダーゼ(COX)の中で最も高い安定性を示すChromobacterium sp.DS-1株由来のCOXの高度安定化の機構を解明することである。既に、本酵素をコードする遺伝子のクローニングに成功していたため、本研究では大腸菌によるタンパク質高発現システムであるpETシステム(Novagen社製)を用いた本コレステロールオキシダーゼ(COX)の高発現化を検討した。これまでのところpETシステムを用いることにより、元のDS-1株に生産させた場合よりも148倍高い(同じ培養液量当たり)酵素生産が可能になった。また、精製条件なども検討した結果、培養液100mlから4mg程度の精製酵素を得ることが可能となった。このpETシステムに使用したCOX発現用のプラスミド(pETCOX)は、シグナルペプチドを除去した成熟型COXを発現するように設計されたCOX遺伝子が挿入されている。また、発現された組換えCOXは、元のDS-1株が生産する野生型COXと同様の性質(至適温度、至適pH、温度安定性、pH安定性、基質特異性、Km値、Vmax値など)を示すことが分かっている。そこで、pETCOXを鋳型として用いて、FADが結合しているヒスチジン残基(His107)を他のアミノ酸に置換するようにプライマーを設計してPCRを行うことにより、COX遺伝子に変異を導入し、FAD非共有結合型COXを作製し、精製した。精製した変異導入体の温度安定性について検討した結果、変異導入体の熱安定性が著しく低下していることが示された。この結果、FADが酵素に共有結合しているか否かが酵素の安定性に深く関与する可能性が示された。この結果は、FAD結合型酵素の安定性に関わる重要な知見であると考えられる。
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